秋田県仙北市にある田沢湖。
その湖畔に、真っ赤な鳥居が印象的な御座石神社(ござのいしじんじゃ)がある。
以前から田沢湖は好きだったけれど、今回ここを訪れて、御朱印までいただいてきた。
そして思いがけず、この日をきっかけに――
Amazonで人生初の御朱印帳まで買ってしまった。笑
もともと御朱印集めをしていたわけではない。
でも、御座石神社には辰子姫を描いたものなど、きれいで個性的な御朱印がいくつもあって、
「これは集めてみたいかも」
と思ってしまった。
御朱印だけではなく、目の前に広がる田沢湖の景色も忘れられない。
すごくきれいなのに、なぜか少し怖い。
それなのに、どこかあたたかい。
不思議な感覚が残る場所だった。
今回は、実際にいただいた御朱印と一緒に、御座石神社や田沢湖に残る辰子姫伝説についても調べてみた。
田沢湖の湖畔にある御座石神社

御座石神社は、田沢湖の北側の湖畔にある神社。
目の前には田沢湖が広がり、その湖に向かうように朱色の鳥居が立っている。
青い湖と空に、真っ赤な鳥居。
天気のいい日は本当にきれい。
写真で見るのもいいけれど、実際にその場所に立つと、湖の広さや静けさまで感じられる。
「御座石神社」という名前は、1650年に秋田藩主・佐竹義隆公が田沢湖を遊覧した際、この場所に腰をかけて休んだことに由来するとされている。
周辺には、辰子姫伝説にまつわる七色木、潟頭の霊泉、鏡石なども残っている。
御朱印だけもらって帰るには、ちょっともったいない場所だと思う。
御座石神社にまつわる辰子姫伝説
御座石神社には、田沢湖に古くから伝わる辰子姫が祀られている。
ここからが、調べてみるとかなり面白かった。
仙北市に伝わる話では、まだ田沢湖が「田沢潟」と呼ばれていた頃、近くの院内という場所に
辰子という美しい娘がいたという。
辰子は、
「いつまでも若く、美しくありたい」と願い、大蔵観音に百日百夜祈り続けた。
そして満願の夜、
「北に湧く泉の水を飲めば願いがかなう」
というお告げを受ける。
辰子は山の中でその泉を見つけ、喜んで水を飲んだ。
ところが、一口飲むとますます喉が渇く。
飲んでも飲んでも渇きがおさまらず、ついには泉が枯れるほど水を飲み続けたという。
そして気がついたとき――
辰子は大きな龍の姿になっていた。
龍になった辰子は田沢湖の主となり、湖の底深くへ沈んでいったと伝えられている。

美しくなりたいと願って、龍になる
この伝説、最初に知ったとき少し不思議だった。
永遠の若さと美しさを願った。そして、ある意味その願いは叶った。
でも、その姿は人間ではなく龍だった。
願いが叶ったのか。
それとも、思いもしなかった運命に変わってしまったのか。
なんとも言えない。
だからなのか、辰子姫伝説って単なる「美しいお姫さまの昔話」という感じがしない。
きれいだけど、少し怖い。切なさもある。
わたしが田沢湖を眺めて感じた雰囲気と、どこか似ている気がした。
辰子姫には、その後の恋の物語もある
辰子姫の話には続きがある。
秋田には、田沢湖・八郎潟・十和田湖を舞台にした三湖伝説(三湖物語)が残っている。
八郎潟の主となった龍神・八郎太郎は、やがて田沢湖の辰子と出会い、恋人になったと伝えられている。
八郎太郎は毎年秋になると辰子を訪ね、田沢湖で冬を過ごす。
そのため、主が留守になる八郎潟は冬に凍る一方、二人の龍神がいる田沢湖は冬でも凍らない――そんな物語になっている。
もちろん伝説なので、事実を説明する話ではない。
でも昔の人が、湖の自然現象や土地の景色を見ながら、こういう壮大な物語を生み出していったと思うと面白い。
秋田県立図書館でも、十和田湖・八郎潟・田沢湖に伝わる南祖坊、八郎太郎、辰子姫の物語を「三湖伝説」として紹介している。
こういう話、わたしは結構好き。
ただ景色を見るより、伝説を知ってから見る方が、その場所が急に違って見えてくる。
御座石神社で御朱印をいただいてきた
そして今回のお目当てのひとつが、御朱印。

御座石神社では、わたしが訪れたときにも複数の御朱印が用意されていた。
墨書きと朱印のシンプルなものも、やっぱりかっこいい。
こういう筆文字を見ると、
「ああ、神社に来たんだな」
という感じがする。
ただ、このあと見つけてしまった。
わたしの心を一気に持っていった御朱印を。
辰子姫の御朱印がかわいすぎた

これ。
辰子姫の御朱印。
初穂料は千円。
湖を思わせる淡いブルーの中に、やさしい雰囲気の辰子姫。
よく見ると、下半身は龍をイメージしたような姿になっている。
御座石神社らしさがすごく出ていて、わたしはかなり好き。
御朱印というと、もっと渋くて格式高いイメージを勝手に持っていたけれど、
「こんなかわいいものもあるんだ」
とちょっとびっくりした。
田沢湖の青いイメージともよく合ってる。
ちなみに御座石神社の周辺には、辰子が水を飲んで龍になったとされる潟頭の霊泉や、辰子が自身の姿を映したと伝わる鏡石もある。
この御朱印を見たあとに伝説を読むと、また印象が変わる。
ほかにも個性的な御朱印があった

再度、御座石神社を訪れた時は、この華やかな馬の御朱印をいただいた。
これがまたかっこいい。
ちょうど60年に一度の「丙午」の年。
わたし自身は丙午ではないものの、同じ午年生まれということもあって、こちらをいただいた。
同じ神社でも、御朱印によってずいぶん雰囲気が違う。
そして困ったことに、
ほかにもまだまだ種類があった。
全部欲しくなる。笑
御朱印は時期などによって内容が変わる可能性があるので、これから行く場合は現地でどんなものがあるか確認してみるのがいいと思う。
わたしもまだ集めていないものがある。
これはまた行く理由ができてしまった。
思わず買った人生初の御朱印帳。

そしてこの日をきっかけに、
人生で初めて、『御朱印帳』を買った。
Amazonで。笑
今まで神社やお寺には何度も行ったことがあるものの、御朱印帳を持とうと思ったことはなかった。
ところが、御座石神社でいろいろな御朱印を見ているうちに、
「これから行った場所の御朱印を残しておくのも楽しそう」
と思い始めた。
思ったら早い。
帰ってからすぐ、気に入った御朱印帳を注文。
数ある種類の中からこちらをチョイス。
何がきっかけになるかわからないものだ。
辰子姫にまつわる言葉もいただいた

こちらも印象に残った。
辰子姫を思わせる絵と、
「紅とらうば 波可乱ぬ 御花乃久」
と書かれた紙。
こういうものまで持ち帰ると、あとから見返したときに、その場所を思い出せるのがいい。
御朱印そのものだけじゃなく、
「ここに行った」
という記憶を残すものなんだな、と少しわかった気がした。
田沢湖の色が、本当にきれいだった

そして、やっぱり田沢湖。
この日は天気にも恵まれて、湖がとてもきれいだった。
青とも水色とも違う。
場所によって色が変わって見える。
田沢湖は日本で最も深い湖として知られていて、その神秘的な湖面は観光案内でも田沢湖を象徴する景色として紹介されている。
でも、実際に見たときに感じたのは、
「きれい」だけじゃなかった。

少し怖い。けれど惹かれる空間

湖を見ていると、すごく穏やか。
静かで、やさしい。
なのに、ずっと見ていると少し怖くなる。
ものすごく深い湖の底に、何か別の世界が続いているような。
……まあ辰子姫伝説を知ったあとだから、完全に想像力が暴走している可能性もある。笑
でも、不思議と「怖いから離れたい」とは思わなかった。
むしろ、ずっと見ていたくなる。
怖さと、あたたかさ。
静けさと、力強さ。
両方が同時にあるような場所だった。
それが田沢湖の魅力なのかもしれない。
湖畔の赤い鳥居は、やっぱり見てほしい

御座石神社へ行ったら、この鳥居から見る田沢湖はぜひ見てほしい。
真っ赤な鳥居の向こうに青い湖。
さらにその向こうには山。
写真でもかなりきれいだけど、実際はもっといい。
わたしも何枚も撮ってしまった。
縦でも横でも撮る。
ちょっと場所を変えてまた撮る。
似たような写真が増えていく。
観光地あるある。笑
御座石神社のアクセスと駐車場
御座石神社は秋田県仙北市西木町桧木内相内潟にある。
田沢湖・角館観光協会の案内では、駐車場は50台。
公共交通機関の場合は、JR田沢湖駅から羽後交通バス「田沢湖一周線」に乗り、「御座の石神社前」で下車。そこから徒歩約1分、田沢湖駅からの所要時間は約40分と案内されている。
車で田沢湖をまわる途中にも立ち寄りやすい。
御朱印の授与時間や種類などは変わる可能性があるので、目的が御朱印の場合は、行く前に最新情報を確認しておくと安心。
また行きたい。

今回御座石神社へ行って、一番予想外だったのは、
御朱印集めを始めるきっかけになったこと。
最初は、「御朱印もあるならいただいてみようかな」くらいだった。
それが、辰子姫の御朱印を見て、
ほかの御朱印も見て、
伝説を調べて、
気づけば御朱印帳まで買っている。
そして今は、
「次に行ったら、まだ持っていない御朱印も集めたい」と思っている。
すっかりハマり始めている。笑
田沢湖の湖面も、赤い鳥居も、辰子姫の伝説も。
全部合わせて、忘れにくい場所になった。
あの湖の色を、また見たい。
少し怖くて、惹かれる空間。
訪れるたびに味わえる、あの不思議な感じ。
また行きたい。辰子姫に会いに…。
