昔遊んだゲームの中には、
「すごく面白かった!」というものだけではなく、
なぜか妙に忘れられないゲームがある。
わたしにとって、そのひとつが
『星をみるひと』だ。
『星をみるひと』は、1987年にホット・ビィからファミリーコンピュータ向けに発売されたSFロールプレイングゲーム。現在はシティコネクションからNintendo Switch版も発売されていて、
公式サイトでは作品情報やゲーム画面を見ることができます。

CITY CONNECTION出典:『星をみるひと』公式サイト
荒廃した未来の巨大都市を舞台に、超能力を持つ4人の子どもたちが、管理コンピュータやロボット、改造生物などが存在する世界の謎に迫っていく。
現在はシティコネクションからNintendo Switch版も発売されている。
こう書くと、ちょっと硬派でおもしろそうなSF RPGに見える。
実際、世界観はかなり独特だった。
でも私の記憶に強く残っているのは、それだけではない。
とにかく、いろいろ理不尽だった。笑
それなのに、音楽は妙にいい。世界観もどこかシュールで、哀愁がある。
結果として私は、このゲームを何年も忘れられなかった。
とにかく遊びにくかった記憶
『星をみるひと』を思い出して、まず浮かぶのが、
マップを歩くのが遅かったこと。
目的地へ向かって、
てくてく。
てくてく。
……まだ着かない。
今のゲームに慣れた感覚で思い返すと、かなりのんびりしていた気がする。

©CITY CONNECTION出典:『星をみるひと』公式サイト
そしてもうひとつ、私にとってなかなか強烈だったのが、
ゲームを再開するときに使うパスワード。
当時は今のように簡単にセーブデータを呼び出せるわけではない。
表示されたパスワードをメモして、次に遊ぶときに入力する。
これがまためっちゃ見づらい。笑
ところが私は、文字を読み間違えたのか、書き写しを間違えたのか、
とにかくうまく再開できないことがあった。
そして、また最初から。
てくてく…。
……。
子どもながらに、かなりイライラした。
いや、子どもだから余計だったかもしれない。笑
昔のゲームだから不便なのは仕方ない。今ならそう思える。
でも当時は、「なんで!?」しかなかった。

©CITY CONNECTION出典:『星をみるひと』公式サイト
なのに、音楽がすごく良かった
ここがおもしろいところで、
そんなに遊びにくかったなら、普通は嫌な記憶だけ残りそうなものだ。
でも『星をみるひと』は違った。
音楽がすごく印象に残っている。
どこか寂しくて、不思議で、ちょっと哀愁がある。SFっぽい世界観とも妙に合っていた。
マップを歩くのは遅い。
思うように進まない。
パスワードで失敗する。
なのに流れている音楽は、やけに切ない。
悪戦苦闘するわたしの気持ちとシンクロしていた。
理不尽さと哀愁が、なぜか同じ世界の中で成立している。
今思うとわたしは、無意識にこのゲームのそんな不思議な魅力にまんまとハマり、
惹かれていたのかもしれない。
世界観も妙にシュールだった
『星をみるひと』は、いわゆる王道のファンタジーRPGとはかなり雰囲気が違う。
舞台は荒廃した未来。
管理コンピュータ。
マインドコントロール。
ロボット。
改造生物。
サイキック狩り。
そして超能力を持つ子どもたち。

©CITY CONNECTION出典:『星をみるひと』公式サイト
今見ても、かなりクセがある。しかもゲームの説明が親切なタイプでもないので、
「私は今、何をしているんだろう」
と思いながら進んでいた記憶もある。
でも、その少し突き放されたような感じまで含めて、独特の空気があった。
不親切なのに、どこか憎めない。
よくわからないのに、先が気になる。
そんなゲームだった。
「クソゲー」で終わらせるには惜しい
『星をみるひと』は、今でもゲームシステムの不親切さや難しさについて語られることが多い。
実際、当時のわたしもゲームに向かって何度も
「はぁ?!」(4オクターブ⤴︎)
と一人でつっこんでいた。笑 でも、じゃあ嫌いだったのか?と聞かれると、
それも違う。
むしろ何年経っても覚えていた。
あの音楽。
あの妙に寂しい世界。
あのシュールな空気。
そして、あの理不尽さ。
全部ひっくるめて、
他のゲームでは味わえない謎の魅力があった。
あの哀愁ある音楽を作ったのは誰?
『星をみるひと』について書いていたら、もうひとつ気になったことがある。
あの音楽、誰が作ったんだろう?
私の中では、このゲームの印象って、理不尽なゲーム性だけじゃない。
むしろ、
あの少し寂しくて、哀愁のある音楽。
そこがすごく記憶に残っている。
そこで作曲者について調べてみたのだけど、
意外なことに、現在確認できる資料では作曲者がはっきり特定されていないようだ。
ただ、曲そのものは今もちゃんと残っている。
クラリスディスクから『星をみるひと (FC)』のサウンドトラックが配信されていて、
「星をみるひと(タイトル)」
「グッドラック!(パスワード入力)」
「旅のはじまり(フィールド1)」
「星のかなたへ(エンディング)」
など、ゲーム中の曲を今でも聴くことができる。
しかも配信ページの紹介文でも、タイトル曲やパスワード入力曲、フィールドBGMなどのメロディがかなり好意的に紹介されている。
何十年も前に、「このゲーム、なんでこんなにイライラするんだ!」と思いながら遊んでいた私が、
今になって「でも、あの曲よかったんだよなぁ」と思い出している。
そう考えると、やっぱり音楽の力ってすごい。
そして、ゲームそのものもちょっと謎めいているのに、作曲者まで謎。
そこまで含めて『星をみるひと』らしい気がして、ちょっとおもしろい。笑
悔しくて、ずっと後になってからクリアした
案の定最後までクリアできなかった当時。
でも、なぜかずっと気になっていた。
そしてかなり後になってから、
攻略サイトを見ながら、もう一度挑戦した。
今度は、わからないところは調べる。進み方も確認する。
昔の自分が詰まったところも、ひとつずつ突破していく。
そして、ついにクリアした。
その瞬間、
「やっと終わった……!」
思っていたより達成感があった。
何年か越しのモヤモヤが解消されたような感覚。
昔、わだかまりを残したままになっていたゲームに、
ようやく決着をつけた感じだった。
今になって思うと、だから忘れられなかったのかもしれない
『星をみるひと』は、わたしにとって、
「完成度が高かったから忘れられないゲーム」
ではない。むしろ逆だ。
遊びにくかった。
理不尽だった。
何度もイライラした。
それでも、
音楽がよかった。
世界観がよかった。
そして、なぜか最後まで気になった。
だからこそわたしは、何年も経ってから攻略サイト見てまで、結局クリアした。
我ながら、自分の執念がおそろしい。笑
今思えば、好きと嫌いがずっと同居していたゲームだったのかもしれない。
めちゃくちゃイライラさせられたのに、
なぜか憎めない。
そして何十年も経った今でも、音楽や世界観まで思い出せる。
それって、駄作どころか
ある意味ものすごく名作だったのかもしれない。
